海が蓄える熱、過去最大=地球温暖化が影響
投稿日:2020年02月20日
気象庁は20日、世界の海が蓄える熱エネルギー量の変化の分析をまとめた。蓄熱量は増加が続き、1955年をゼロとして計算すると、2019年は過去最大となる43×10の22乗ジュールを記録。地球温暖化の影響が海にも及んでいることを改めて示した。
この結果、海面から水深2000メートルまでの平均水温は、55年から19年の間に約0.15度上昇した。海水温の上昇は、台風の勢力を強めたり、膨張による水位上昇を引き起こしたりする可能性がある。
00年から10年ごろの気温上昇が鈍かった時期にも、海の熱量は増え続けており、同庁は「温暖化の監視に海の熱の把握は不可欠」と指摘した。
南海トラフ地震、警戒高める時期 教訓からリスク把握を
投稿日:2020年02月17日
南海トラフ地震、警戒高める時期 教訓からリスク把握を
阪神大震災から25年。南海トラフ地震の切迫性が高まっているとして政府は南海トラフ周辺の地震を解析し、国民に警戒を促すための情報公開を始めた。阪神大震災を機に研究者の道を歩んできた遠田晋次・東北大教授(地震地質学)と矢守克也・京都大防災研究所教授(防災心理学)はこの25年を振り返り、「教訓を生かせたことと生かせてないことを見極め対策を急ぐべきだ」と強調している。
今後30年間で 確率70~80%
矢守 平成7年阪神大震災から25年たちました。ということは、南海トラフ地震の発生が近づいているということをも意味します。政府は今後30年間で南海トラフ地震が起る確率を70~80%とし「切迫性が高い」としています。
遠田 読者の関心が高い次の地震の時期について説明すると、前回の昭和19年東南海、21年南海地震がそれ以前の南海トラフ地震よりも小さい地震だったため、次の地震は早く起るという見方があります。昭和東南海、南海はマグニチュード(M)7・9と8・0でしたが、それ以前の地震はM8・4クラスですので、昭和東南海、南海は地震のエネルギーが開放しきれておらず、次の地震を起こすエネルギーが早く蓄積されるという考えです。
矢守 南海トラフ地震の年表をみると、地震の間隔は100~200年ですが、昭和東南海、南海地震は前の安政地震から90年後に起きています。次はそれより早く起きる可能性があるということですか。
遠田 今年は昭和南海から74年たちますので、そろそろ警戒を高めるべき時期ではありますね。
矢守 次の地震の規模はどれぐらいでしょうか。昭和の地震では東海地震が起ってない点も気になります。
遠田 地震の発生間隔が早くなる場合、地震のエネルギーの蓄積が小さいと考えられるので、地震の規模も小さくなるという考え方もありますが、歴史をみると、M8・4ぐらいをイメージするのが妥当かなと思います。
矢守 政府は平成23年東日本大震災クラスのM9の想定(死者32万人)を公表していますが、この想定は大きすぎるということですか。
遠田 M9の想定は南海トラフ地震が東日本大震災と同じ規模になるようなモデルを示したにすぎません。しかし、東日本大震災の津波が大きかったのは、地震に伴う大規模な海底地滑りがひとつの原因ともされています。巨大地震がもたらす影響や不確実性は計り知れないので、過小評価は禁物です。
主要都市直撃 未体験の被害
矢守 津波への関心は高まっていますが、地震の揺れによる影響が未知数です。昭和東南海(死者1223人)、南海(同1362人)の時と現在は人口や都市の過密さが異なります。また、30年北海道胆振(いぶり)東部地震で見られたように、地震と降雨が連動した土砂災害、液状化や関東大震災級の火災など、複合災害も想定しておかねばなりません。
遠田 次の地震の被害で注意するべきことのひとつは南海トラフ地震のような海溝型地震特有の長周期地震動です。ゆっさゆっさという周期の長いゆれが1分以上続き、高層ビルなど大型施設に被害をもたらす可能性があります。
矢守 阪神大震災であれほどの都市災害を経験しながら、高層ビルなど大型施設は増える一方です。
遠田 東日本大震災では震源から約800キロ離れた大阪で高層ビルが被害を受けましたが、南海トラフ地震は東日本大震災に比べ震源が陸地に近く、首都圏から九州までの日本の主要都市を直撃するので、未体験の被害を覚悟しなければなりません。
喫緊の課題は 避難対策改善
矢守 阪神大震災以降、進歩したこととそうでないことがあります。避難所の問題は悪化しています。東日本大震災と28年熊本地震では地震後体調を崩すなどして亡くなった震災関連死はそれぞれ3739人、220人です。熊本地震は直接死が50人ですから4倍強です。2025年に高齢化はピークを迎え、次の南海トラフ地震では関連死が一層深刻になります。すべての避難所で医療・福祉レベルを高める取り組みは喫緊の課題です。
遠田 阪神以降、地震観測の精度は格段にあがり、スロースリップ(ゆっくりすべり)という現象がとらえられるようになりました。この現象は海側のプレートと陸側のプレートの境界で起る地震動を伴わないゆっくりとしたすべりです。数日~数カ月、数年続くこともあり、周辺で群発地震が起こることもあります。この現象がプレート境界にあるプレートとプレートがくっついた固着域に影響すると、固着域がはがれ、南海トラフ地震が起きます。スロースリップの情報活用が避難対策に何らかの形で寄与する可能性があります。
矢守 スロースリップなど南海トラフ周辺の現象が巨大地震に関連するかどうかについて、気象庁が毎月南海トラフ地震関連解説情報を公開しています。緊急性のある場合は臨時情報がだされ、事前避難開始が促されます。
遠田 地震対策は家具固定と耐震補強が基本です。緊急地震速報も進化しており、南海トラフ地震には有効です。南海トラフ地震の発生前の期間には内陸直下型地震が起りやすいことが歴史から分かっています。30年大阪府北部地震の影響もまだ若干残っています。近年地震の経験のない地域は警戒が必要です。
矢守 阪神大震災から25年で分かったことは被災者の被害の様相が誰ひとりとして同じでなかったということです。この教訓を防災に生かすなら、国民ひとりひとりが自分自身にふりかかるリスクを把握し避難計画を立てる。手助けが必要の場合、地域で助け合う。それも困難であれば行政が支援する。この役割分担が事前にできていれば被害は軽減できます。
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政府は平成29年11月から南海トラフ地震へ国民の警戒を促すための情報公開を始めた。気象庁は、南海トラフ周辺の地震活動を解析し、毎月「南海トラフ地震関連解説情報」をホームページなどで公開している。緊急性のある場合、「臨時情報」として「巨大地震注意」「同警戒」などの表現で随時情報公開し、避難の開始など南海トラフ地震への備えを国民に促すことを目的としている。
約40年で消費量半分に 「アメリカ人の牛肉離れ」の背景に何が
投稿日:2020年02月17日
関税率の引き下げに伴い、米国産牛肉の輸入が増加している。消費者にとっては価格が安くなって有難いかもしれないが、その一方で米国産牛肉の多くは「肥育ホルモン剤」としてエストロゲンなどの女性ホルモンを投与されて育てられているという現実がある。
家畜における合成肥育ホルモンの継続的な使用が安全であるかどうかについて、因果関係の立証は難しいが、EU諸国では肥育ホルモンを使用して育てた牛肉の輸入を一切認めていない。ボストン在住の内科医・大西睦子さんはこう語る。
「1970年代半ばから1980年代初めにかけて、プエルトリコなどで幼い女の子の乳房がふくらんだり、月経が起きるなど、性的に異常な発育が続出しました。その原因がアメリカ産の牛肉に残留した合成肥育ホルモン剤『ジエチルスチルペストロール』だとされたのです。そこで、アメリカでは1979年に、EC(現在のEUの前身)では1981年に使用が禁止されました。
ただし、同種の合成女性ホルモンは使用され続けてきました。そこでヨーロッパでは家畜へのホルモン投与反対運動が起こった。1988年に使用の全面禁止、1989年には合成女性ホルモン剤を使用したアメリカ産の牛肉などが輸入禁止になりました。最近では、女性ホルモンを多く利用・服用すると乳がんが増えるという研究データもあり、ホルモン剤の使用はさらに疑問視されています」
一方で、「アメリカ人も食べているわけだから大丈夫でしょう?」という素朴な疑問も浮かぶ。米国メディア日本特派員が話す。
「実は、アメリカ人も肥育ホルモン剤を使った牛肉を食べることを嫌って、どんどん“牛肉離れ”が進んでいるんです」
アメリカの食事といえば、ワイルドなステーキなど牛肉なくして成り立たないイメージがあるが、それは古い感覚のようだ。
「たしかに、かつては牛肉はアメリカで最も多く消費されていた肉類でしたが、それは過去の話。1976年に牛肉が肉全体の年間消費量のおよそ半分を占め、1人あたり年間40kgほど食べていた。しかし、2018年になるとそれが肉全体に占める割合は2割を切り、1人あたり20kgほどしか食べなくなっているんです」(前出・特派員)
たとえ牛肉を食べるにしても、選別が進んでいるようだ。
「アメリカでは牛肉に『オーガニック』とか『ホルモンフリー』と表示したものが売られていて、経済的に余裕のある人たちはそれを選んで買うのがもはや常識になっています。自分や家族が病気になっては大変ですからね。健康志向の人の中には、大豆など植物由来の『ダミービーフ』を使う人もいます」(ニューヨークで暮らす日本人商社マン)
ホルモンフリーの商品は通常の牛肉より4割ほど高価になるのだが、これを扱う高級スーパーや飲食店が5年前くらいから急増しているそうだ。健康志向を持つ人や富裕層といわれるハイクラスのアメリカ人は、とっくに肥育ホルモンの使われた牛肉など口にしないのだ。
ホルモンフリーの牛肉は高いが、体にいい肉を食べたいのは中産階級も同じ。昨年夏、日本にもある人気ファストフード店のバーガーキングが「インポッシブル・ワッパー」というメニューを発売し、全米で話題になったという。
「100%大豆由来の“ダミー肉”を使ったハンバーガーですが、値段は通常の牛肉のハンバーガーより1ドル高いだけ。味もよくて、知らずに食べたら気づかないレベルです。しかも、かじるとまるで血がしたたるようにジューシー。それでいて脂肪15%減、コレステロール90%減、というのがアメリカ人の胸に響いたようで、人気を集めています」(在米留学生)
このような「植物由来のダミー肉」はアメリカ国内の3万店舗以上のスーパーマーケットで売られている。バーガーキングのように通常の肉と比べて値段は少ししか変わらないとあって、若者や中産階級にも充分手が届く価格なのが魅力だ。市場規模は急速に拡大を続け、今年中に52億ドルに達するといわれている。
「大学のクラスメートと話していても、オーガニックミートの話はよく出ます。私はベジタリアンではないし、乳製品も摂らないヴィーガンとも違うけれど、やっぱりこちらの生活では意識しないと肉食が多くなる。がんも怖いし、積極的に取り入れています。“安い牛肉を食べるのはダサい”みたいな風潮すらあります」(別の在米留学生)
では、アメリカで大量に育てられているはずの肥育ホルモン入り牛肉はどこへ行くのだろうか――そう、ホルモン剤入り牛肉を食べさせられているのは日本人だ。耳を澄ませば、トランプ大統領の高笑いが聞こえてこないだろうか。まさに何も知らないのは、日本人だけなのだ。
「安くなった」と小躍りして子供たちにアメリカ産牛肉のステーキを食べさせている場合ではない。
PFASは人体に危険?特に子供は要注意!
投稿日:2020年02月17日
そもそもPFASとはどういうもので、今回の発表は何を意味するのか。新潟大学名誉教授で医学博士の岡田正彦氏に聞いた。
「PFASは、かつてはフライパンのコーティングに使用されるテフロンの製造過程で使われていたもので、水や汚れを防ぐ機能に優れていることからカーペットクリーナー、フローリングワックスなど、日用品にも広く使用されているものです。
この物質は人工的に合成されたもので、もともと自然界には存在していません。なかでも、長い鎖状につながったパーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルフォン酸(PFOS)の2つは、腎臓がん、精巣がん、膵臓がん、前立腺がん、乳腺がんのリスクを高め、また低体重児、甲状腺疾患、精子減少などのリスク要因になっている、とアメリカ環境保護局(EPA)が指摘しています。
世界各国の政府も使用禁止や用途制限の措置をとっているところですが、すでに広く環境を汚染してしまっていて、人の血液中からも微量ながら検出されるというデータがあります。
その代用品として合成されているのが鎖の部分を短くしたPFASで、人体からすみやかに排出されるため安全性は高いとされていました。しかし、紙コップなどからにじみ出しやすい上、一度飲料水などを汚染してしまうと除去が難しいことがわかり、人体にとってのリスクはむしろ高いのかもしれないと考えられるようになっています。
その危険性を訴えた『ポリ-及びパーフルオロアルキル物質(PFASs)に関するマドリード声明』という発表もあり、日本でも水質調査が行われるようになりました。その結果、アメリカの環境基準は下回っていたものの、国内の多数の河川でPFASが検出されているようです。
これらの物質が世界的な関心を集めている理由は、ファストフードの包装紙や紙容器に量の多寡にかかわらず含まれているという発表が相次いでいるからです。これまでの研究によれば、化合物の鎖の長さによる違いが大きく、また包装紙と食品が接触する時間や加熱方法などによっても生体への影響が異なるようです。
これは、特に子供への影響が懸念されています。子供はファストフードをよく食べる上、化学物質の作用を受けやすいからです。これまで、アメリカ食品医薬品局(FDA)は20種類の化学物質についてフライやドーナツなど油で揚げた食品の包装紙への使用を許可してきましたが、2016年1月に環境保護団体などからの訴えもあって3種類を取り消しました」
洗剤・界面活性剤中毒
投稿日:2020年02月17日
洗剤・界面活性剤中毒とは – 医療総合QLife
洗剤・界面活性剤中毒
洗剤・界面活性剤中毒とは?
どんな病気か
家庭でよく使われる衣類・食器用洗剤には、陰イオン系、非イオン系などの界面活性剤が含まれています。
事故や誤飲、自殺目的の飲用などで洗剤が口に入った場合、少量であれば通常は問題ありませんが、多量の場合は、消化管粘膜の損傷や筋力の低下、けいれんなどが起こり、肝障害、ショックなどにより死亡することもあります。
原因は何か
界面活性剤には、陰イオン系、非イオン系のほか、陽イオン系、両イオン系があります。陰イオン系、非イオン系界面活性剤は、石鹸や洗浄剤として使用され、家庭用洗剤のほとんどにはこれらが使われています。
一方、陽イオン系界面活性剤は柔軟剤、殺菌剤、静電気防止剤などに用いられ、両イオン系は洗浄剤、柔軟剤、静電気防止剤などに用いられています。いずれも陰イオン系、非イオン系よりも毒性は強いのですが、家庭用洗剤に用いられる場合の濃度は低く抑えられています。
界面活性剤には蛋白凝固作用があり、消化管の粘膜を腐食させます。また細胞膜機能を低下させ、血管の透過性を亢進し、循環血漿量を減らします。多量の場合は、溶血や神経の遮断を起こします。
症状の現れ方
経口摂取の場合は、口腔や咽頭、消化管の粘膜を刺激し、損傷します。そのため多量に飲むと、腹痛や嘔吐、下痢を起こし、吐血、下血がみられることもあります。また、脱力、筋力低下、けいれんなどの神経症状が生じます。
さらに、肝障害、循環血漿量減少性ショック、アシドーシス(血液が酸性になること)、肺水腫などが起こり、死亡することもあります。
検査と診断
どんな物質をどの程度の量飲んだのかを確認することが大切です。初期症状は、かぜや食中毒に似ています。
治療の方法
牛乳または卵白を飲ませます。洗剤・界面活性剤を多量に飲んだ場合は、吐かせたり、穿孔(消化管に孔があくこと)に注意しながら胃の洗浄を行います。下剤、活性炭を投与することもあります。そのほか、症状に応じて対症療法を行います。
病気に気づいたらどうする
多くの場合、牛乳を飲ませるだけでよいのですが、洗剤・界面活性剤をコップ1杯あるいはそれ以上飲み込んでしまったら、牛乳を飲ませたうえ、吐かせて、救急病院に搬送してください