対 策
地球温暖化への対策は、その方向性により、温暖化を抑制する「緩和」(mitigation)と、温暖化への「適応」の2つに大別できる。
地球温暖化の緩和策として様々な自主的な努力、および政策による対策が進められ、幾つかはその有効性が認められている。
現在のところ、その効果は温暖化を抑制するには全く足りず、現在も温室効果ガスの排出量は増え続けている。
しかし現在人類が持つ緩和策を組み合わせれば、「今後数十年間の間にGHG排出量の増加を抑制したり、現状以下の排出量にすることは経済的に可能である」とされる。
同時に、「今後20–30年間の緩和努力が大きな影響力を持つ」「気候変動に対する早期かつ強力な対策の利益は、そのコストを凌駕する」とも予測されており、現状よりも大規模かつ早急な緩和策の必要性が指摘されている。
地球温暖化への対応の動き
地球温暖化の影響は上記のように地理的にも分野的にも広い範囲におよぶため、それに対する対策もまた広い範囲におよぶ。
根本的な対策として温暖化ガスの排出量の削減などの緩和策の開発・普及が進められているが、世界全体ではまだ排出量は増え続けており(AR4)、現状よりもさらに大規模な緩和を目指した努力が求められている。
エネルギー:
- 再生可能エネルギーの普及が進められている。
- 原子力発電を緩和手段として普及させる動きもある。
- 水素エネルギーの開発が各国で行われている。
- 燃料電池や新型蓄電池などエネルギー貯蔵手段の開発が活発に行われている。
- 電気自動車、水素自動車、バイオ燃料などの開発が活発である。
省エネルギー:
- 自動車の燃費や窒素酸化物の排出量に対して各国で規制が強められている。
- 家電製品などの消費エネルギー量に対して各国で規制が強められている。
論争
地球温暖化に関しては、その原因や影響、対策の効果などについて懐疑論も見られる。
影響は広範囲に及び、対策もまた大規模になると予測されているため、その具体的な緩和策に関する議論も多い。
温暖化人為説に関する議論
地球温暖化に関する人為的影響については、下記のような異論も存在する。
現在では、近年の温暖化に対する人為的影響を否定する国際的な学術組織は無いとされるが民間レベルでの議論は各国で続いている。
- 二酸化炭素を主因とする温暖化を疑う意見(気温の変化の方が先に起こっている、水蒸気が原因である、など)
- モデルと実際の気候の不整合を問う意見。
- 太陽活動の影響、宇宙線の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などが原因である。
- 地球は温暖化でなく寒冷化するはずである。
- 南極の一部だけは気温が上昇していないから、水蒸気が増えてもそこに降雪が集中するはずだ。
- 予想に用いる気候モデルの信頼性が十分でない。
- 二酸化炭素のミッシング・シンクなど、現在では解決された不整合性を論拠にした主張。
- 一部国家や特定勢力による陰謀である。
- 科学的合意はまだ得られていない。
このような懐疑論に対しては、各国で下記のような現象や動きもみられる(地球温暖化に対する懐疑論#各国における状況を参照)。
- 一部のセンセーショナルな異論を掲載した書籍が売れる一方、これに対する反論が行われ、公的機関が質疑応答集を掲載する(日本)
- 世論調査で、支持政党によって意見が大きく異なる(米国)
- 科学的手法に基づかない一部の懐疑論に対し、議会が抗議の意志を表明する(欧州)
緩和策、技術に関する議論
- 再生可能エネルギーは最も大きい効果を持つ緩和手段の1つとされ、既に国によってはエネルギー供給量の数割を占めている。
- その一方、その短所のみを取り上げて実用性を否定しようとする意見も見られる。
- 原子力発電は温暖化の緩和策の一つに挙げられ、その活用を進める動きがある。
- その一方で、汚染事故や将来のエネルギー源としての効率の低下、核拡散やテロの危険性などの見地から批判的な意見もある。
- 例えば、地球温暖化問題そのものは「存在する」とするアル・ゴアも、原子力発電に対しては消極的である。
- 炭素固定手段としての森林の効果を否定しようとする意見が見られる。
排出権取引に関する議論
- 途上国にはCO2排出規制がない。先進国が排出権取引逃れのために途上国に工場を移せば、CO2は削減できない。
- 排出権取引は将来の排出枠を巡りすでにバブルの様相を呈している。
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