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【続き】安倍首相の続投が決まった。日本でこれから何が起きるのか 5つのポイント

投稿日:2018年09月21日
3.北朝鮮、ロシア、中国…「戦後総決算外交」の行方は

安倍氏は総裁選で3選を果たした9月20日の挨拶で、「戦後総決算外交に取り組む」と語った。

外交面での大きな課題は、朝鮮半島、中国、そしてロシアだ。

朝鮮半島の非核化と戦争状態の終結に向け、南北首脳会談が今年3回に渡って行われ、米朝首脳会談も開かれた。

日本は北朝鮮の非核化を求めながら拉致問題を解決していく必要があるが、拉致はずっと膠着したままだ。

日本は韓国との間で1965年に日韓基本条約を結び、

総額8億ドルの援助資金と引き換えに、韓国側が請求権を放棄するかたちで賠償問題を決着させた。

北朝鮮との間では2002年、小泉政権が日朝平壌宣言に調印し、

「国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議する」ことに合意している。

安倍氏は「日朝平壌宣言に基づいて国交正常化するとのわが国の方針は変わらない」と語っており、日朝の交渉が具体化すれば、こうした点が焦点となる。

また、北方領土問題を巡りロシアのプーチン大統領は9月12日、公開の場で安倍氏に直接、「前提条件なしで年内中に平和条約を締結しよう」と提案してきた。

これは、領土問題を解決してから平和条約を結ぶという日本側の方針と正反対のもので、

ロシアとの交渉は今後も難航が予想される。

中国とは北朝鮮の核問題を巡る協力、

米トランプ政権の仕掛ける「貿易戦争」を巡る対応、そして尖閣諸島や南シナ海などでの拡張主義を巡り、

対立と接近をどうしていくか、距離感が問われる。

4.憲法改正は具体化するのか

安倍氏は自衛隊の存在を明記する方向で憲法を改正する考えを示している。

憲法第9条の第1項と第2項を維持したまま、自衛隊の存在を規定する第3項を加える方向性だ。

安倍氏は「自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、

自衛隊が違憲かもしれないなどの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と語っているが、

このやり方での改憲には、「それでは、これまで自衛隊を合憲としてきた歴代の政府見解は何だったのか」という批判が出ている。

憲法改正には衆参両院の3分の2の賛成を得た上で国民投票で過半数の承認を得る必要がある。

安倍氏が憲法改正の発議を本格化すれば、2015年の安保法制制定時を上回る論争となるのは確実だ。

5.内閣改造で「冷や飯」を食べるのは?

今回の総裁選で話題となったのは、石破派に対する圧力だ。

安倍氏本人は、今後の人事を語っていないが、麻生財務相は石破氏を支持すれば「冷や飯を食う覚悟を」と警告している。

朝日新聞によると石破陣営は、議員・党員(地方)票あわせて200票を獲得することを「敗れても党内で存在感を示せるライン」としていた。

石破氏は地方票で181票を獲得。議員票でも事前の「50前後」という読みを上回る73票の、計254票を得たことで、党内で改めて存在感を示すことになった。

石破氏は「地方の支持は多くいただいた」「これだけ多くの支持をいただいたわけで、それが政権運営に示されるようにするのは私の役割」「安倍さんとの隔たりがあるものがある」と語り、今後も反主流派として議論を続ける構えを見せた。

安倍氏は10月1日に内閣改造を行う見通しだ。斎藤健農相ら石破派の処遇が政局の焦点となる。

番外編 小泉氏の動向は

国民的な人気が高く、総裁選で動向が注目されていた小泉進次郎・筆頭副幹事長は総裁選の開票が行われる9月20日、石破氏を支持する意向を表明した。

このタイミングは、絶妙だった。

小泉氏が石破氏支持に動けば、約100万人いる党員による地方票の流れが石破氏に向かうこともあり得るとみられていた。一方で小泉氏は無派閥で、国会議員への影響力はそれほど大きくない。

総裁選で、党員の投票は19日に締め切られた。

20日に行われたのは国会議員の投票と、全体の開票だ。議員票は計405票。党員票も同じ数で、候補者に比例配分される。

これまで口を閉ざしていた小泉氏が石破氏支持を明言したのは、実際に自らが影響力を行使できる可能性がある一般党員の投票が締め切られた後のこと。つまり、影響を与えないタイミングを見計らっていた可能性が高い。

安倍氏、石破氏どちらにも一定の恩を売り、同時に有権者に対して「一言居士」のイメージを売り込む行動を取ったことになる。

2018年9月21日 投稿|     
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