◆「ぜいたく品」だったクルマ
投稿日:2018年09月30日
このようにクルマは、「購入」、「所有」、そして「使用」の各段階で様々な税が課せられている。特に問題とされている点を解説したい。
自動車関連税の中でも古くからあるのが自動車税である。1940年(昭和15年)に創設され、その目的は、資産税的な性格と道路の利用の受益者負担という性格がある。資産税的な意味合いとは、当時まだクルマがぜいたく品であったことを示している。
軽自動車税は、58年(昭和33年)に自動車税より分離独立された。通産省(当時)による国民車構想から発展した軽自動車、スバル360などが誕生した時期と重なる。
自動車にかかる税金の主なトピックスを表にまとめてみた。
(画像はイメージ) ◆一般財源化された道路特定財源
日本のモータリゼーションの発展に伴い、道路の拡充や道路破損の修繕を理由とする自動車関連の税が次々と創設されてきた。それらは、使い道がはっきりした目的税であり「道路特定財源」と呼ばれた。
しかし、道路整備が全国に広がり、ほとんど通行のない地域にまで高速道路建設が行われていることが問題として指摘され、こうした弊害を取り除くため、2009年に道路特定財源は廃止され一般財源化された。
すなわち、クルマを利用する人が便利なように道路整備を行い、クルマを利用する人たちのために損傷した道路補修を担う観点から創設された税収でありながら、一般財源としてクルマや道路以外の分野にも使える予算に組み入れられることになった。
これによって、クルマの所有者や利用者のみから徴収される税であるにもかかわらず、受益者負担という理由付けは曖昧になり、税の公平性を欠くのではと指摘される事態となっている。
(画像はイメージ) ◆「暫定税率」という問題
税率にも問題がある。自動車関連の税金が「道路特定財源」であった時代には、年々増大する道路整備予算などに対処するため、本来の税額である「本則税率」に、上乗せ分が加えられた「暫定税率」という追加課税の措置がとられてきた。
「暫定」というからには、「一時的な」という意味であり、その目的が達成された暁には、税制が変わらないまでも本則税率に戻されるのが当然ではないだろうか。しかしながら、現在も暫定税率は残され、高い税額のまま徴収されている。
2010年の租税特別措置法の改正により暫定税率そのものは廃止されたが、現在も「当分の間の税率」と言葉を変えて存続している。その結果、重量税、揮発油税、軽油引取税は本則税率のほぼ2倍という高額の税金を維持している。
もちろん、これらはすでに道路特定財源ではなく一般財源だ。
冒頭に述べたように、自動車取得税は、購入時にかかる税という意味では消費税と同じである。したがって、クルマの購入者は同じような税を二重に課せられていることになる。
エコカー減税などで免税や減額となる車種もあるが、本質的な税の制度改革はなされていない。