人間活動がはじめて季節を変えた? 日本と世界を襲う記録的な猛暑の背景
日本では、2018年7月23日に埼玉県熊谷市で観測史上最高となる41.1度の気温を記録するなど、
7月中旬以降、東日本から西日本までの広い範囲で、平年値に比べて3度以上も高い気温が続いている。
■ 世界各地で記録的猛暑
このような記録的猛暑は日本だけにとどまらない。
米国では、7月8日にカリフォルニア州デスバレー国立公園で最高気温52度となったほか、ロサンゼルス近郊のチノでも48.9度を記録した。
また、欧州では、アイルランド、イングランドの東部および南部、スカンジナビア半島南部、バルト諸国などを中心に、平年値より3度から6度ほど高い気温が継続。
北極圏に位置するノルウェーのテュスフィヨール市ドラッグ村で7月18日に最高気温33.7度を記録し、
スウェーデンでは、記録的な猛暑と乾燥により、北西部のイェムトランド、中部のイェヴレボリやダーラナなど、
これまでに50地点以上で森林火災が発生している。
■ 異常気象の発生人間活動によるものなのか?
熱波や猛暑をもたらす個々の事象が、
生産活動や経済活動、社会活動などのいわゆる“人間活動”に伴う気候変動に起因するものだとは直ちに断言できないものの、
人間活動が昨今の異常気象に直接または間接的な影響を及ぼしていることはすでに多くの研究成果が示してきた。
世界気象機関(WMO)によると
2011年から2016年までにアメリカ気象学会(AMS)の機関紙に掲載された研究結果131件のうち65%が
「異常気象の発生確率は人間活動によって著しく影響を受けている」ことを明らかにしている。
■ 人間が「季節循環に影響を及ぼしている」との研究が発表された
米エネルギー省(DOE)
傘下ローレンス・バリモア国立研究所のベンジャミン・サンテール博士を中心とする研究チームでは
7月20日、米学術雑誌「サイエンス」で「人間が対流圏温度における季節循環に影響を及ぼしている」との研究論文を発表。
衛星が実際に観測した温度データと、気候モデルに基づきシミュレーションした人為的要因のフットプリント
(痕跡)を分析し、対流圏温度の季節循環において、人間活動に起因するフットプリントを、自然変動によるものから分離して示すことに成功した。
対流圏温度の季節変動幅は、とりわけ中緯度において大きくなっており、水陸分布の違いにより南半球よりも北半球でより大きくなっているという。